因島の旅館、ついに工事が始まる。
離れの南側の瓦屋根の劣化が激しかったので、入り母屋の南側だけ瓦を撤去し、
新たに屋根を拭いた。屋根は、鋼板とポリカを交互に入れた。
棟をまたいで、既存の瓦屋根と、新設の鋼板ポリカ屋根が隣接する。
土壁は一部崩れ落ちていたので、
竹小舞を補修し、土を新たに乗せる。
古いものはそれだけだと古いものでしかないのだが、
新しい部材が加わると急に存在感を放ちだすから不思議なものである。
それが空間に重みをもたらす。
ここまでして古いものを継承して使っていく意味を改めて認識できた。
台風が来る前に急ピッチで終わらせた屋根だったが、気づいたら台風の進路がそれ、すっかり晴れた天気に。