古民家屋根新設

因島の旅館、ついに工事が始まる。

離れの南側の瓦屋根の劣化が激しかったので、入り母屋の南側だけ瓦を撤去し、

新たに屋根を拭いた。屋根は、鋼板とポリカを交互に入れた。

棟をまたいで、既存の瓦屋根と、新設の鋼板ポリカ屋根が隣接する。

土壁は一部崩れ落ちていたので、

竹小舞を補修し、土を新たに乗せる。

古いものはそれだけだと古いものでしかないのだが、

新しい部材が加わると急に存在感を放ちだすから不思議なものである。

それが空間に重みをもたらす。

ここまでして古いものを継承して使っていく意味を改めて認識できた。

台風が来る前に急ピッチで終わらせた屋根だったが、気づいたら台風の進路がそれ、すっかり晴れた天気に。

 

名建築は体験が9割 ロバート・マッカーター

移動が多かったので、名建築は体験が9割 ロバート・マッカーター を読んだ。

ライトの建築を中心に内部空間の経験について語っている。

エコール・デ・ボザール流の空間認識は、眼と身体の動線はともに目的地への動きの経路に従い、全く同一であるのに対し、
近代化の空間的コンセプトは、同じ空間のシークエンスを抜け、同じ中心軸にそって視線を動かし移動する内部空間を平面的、断面的にさまようように動く。ユニティテンプルやブロッサム邸などは、中心部の動きが遮られた軸、折れ曲がる壁によって、空間的な継続性を生み出している。

コルビュジエにも触れ、薄く透明なものから、よりマッシブで有機的、凹型、空洞で器へと移行したプロセスは、感情に共鳴する内部空間を追求した結果であり。それらは絵画が初期の静物画からキュビズムの絵画へ変化にも見て取れる。

しかし最近は空間認識の感度が下がりつつあり、外部形態への注目が強調されることで、内部体験に対してほとんど無知であるという。
建築はインターネットへの投稿などのメディアによって、イメージ(画像)に支配されている。空間に立ち入ることもなしに、知っているように感じる。写真写りの良さが、デザインされた事象のイメージをわかりやすいアイコンへと低下させた。

ストークスは、材料を積み上げて作るモデリング、削り出して内部空間を既存の密な形体につくるカービングを区別し、アルド・ファン・アイクは、人のいるすべての空間は、本質的に内部であり。人にデザインされたあらゆる空間は根本的に内部空間であるという。歴史上残る最初期の空間は、どれもほぼ内側の室からなる。マルタ島のハイポジュームチカシンデン、エトルリアコフン、アジャンター石窟群、アブ・シンベル神殿 などなど。

では、これからの内部空間はどこに向かうのか。内密性と無限性というキーワードがあった。無限の空間に内密で身体的なスケールを持ち込む、ということだが、それは、巣のような空間であろうか。ファン・デル・ラーンのいう、外部と内部を、限界のない自然の空間から限界のある経験の空間というで意義で考えると発展性があるかもしれない。

VRが目指すところは、今の所視覚に主に頼っているが、リアルな(五感を呼び起こす)感覚である。VRは内部と外部を再定義できるか、あるいはキュビズムの流れを再度持ち込めるか、考えさせられる。

用途変更してホテルへ

新宿区で、マンション一棟をまるごとホテルに用途変更しました。

ホテル秀・新宿御苑という名称になるはずです。お立ち寄りの際はぜひ。

マンションは新築で状態も良かったので、客室は家具の入れ替えだけで済みました。

法規に照らし合わせて必要な設備をかなり追加しています。

エントランスロビーがなかったため、外部エントランスを一部内部化して、ロビーとしています。

ロビーのカウンターは、ザラザラとしていて丸いもの、という都市であまりないテクスチャを目指しました。それが癒やしをもたらせばよいかと。

用途変更の確認申請は初めてでしたが、新築と揃える書類が変わらないため、それなりに大変な作業でした。
ALMAの八木さん他にいろいろとお世話になりました。ありがとうございます。

http://kominoru.com/PART03/PROJECT13/work.html

軽井沢屋外家具

軽井沢のとある別荘の屋外家具の納入を行った。

庭に置く家具は、まわりの植物に溶け込ませないといけないと考えた。
そのためには、家具のテクスチャは繊細でかつ軽快でないといけない。
採用したのはPVC編み、数ある素材の中で悩んだが、オイスターグレーを選んだ。
結果的にこれが良かったと思う。白を選んでいたら、明るい外光の中で白飛びしていたかもしれない。

家具製作は以前からお世話になっているPENFOLDにお願いした。来週にブランコを設置して、完成となる。

軽井沢では先日タリアセンに行って、レイモンドの夏の家と、ウォーリズの旧朝吹山荘を見学した。

江の浦測候所

杉本博司の江の浦測候所を見学した。

長い歴史が宿るモノは、価値があるからこそ残されているということを考えれば、それ自体が美しいことの証明になるかもしれない。
それとともに、それぞれのモノには物語があって、建築はそれぞれのもののストーリーから派生したつなぎとして機能している。
だから建築とモノの区別があいまいであり、渾然一体となって美しい。建築はシャープで重厚、という印象を受けた。風景を切り取るフレームとしての建築は、ミニマムに存在するが、
別の角度に回ると、それは大地に根ざした量感のある物質としてしっかり存在している。
細部も、総じて先端はきれいに細くカットされているが、膨らみや断面形状から、重厚な印象を与えるディテールになっていた。
歴史とはそういう重みかもしれない、と考えさせられた。

冬至の日に、太陽の光が100mのコールテン鋼のトンネルを射抜き石群にあたり、平行に太陽の昇る 方向に向けて並べられたガラス片の小口がいっせいに輝く瞬間をぜひとも見てみたくなった。

防水 配管工事

相原の家は建具もすべて無事ついて、防水紙→通気胴縁→外壁の工事にはいっていきます。

建具の工事が終わったらすぐ防水紙を貼れれば良かったのですが、台風にみまわれて、建具と壁の隙間から雨が入り込んでしまって、合板が一部濡れてしまった。強度的には問題ないですが、露しにする予定の箇所にシミができてしまい、アク抜きを掛けて処理することになった。不測の事態ですが、注意したい。

防水紙も張り終わったので、雨仕舞はひとまず完了。

同時になかでは配管工事。露し天井が多く、配管ルートに苦労しましたが、無事どこかに収めることができそう。

 

相原PJ上棟

相原の家が着々とできてきています。

基礎だけで上モノがない状態が2週間ほど続きましたが、

建て方が始まればみるみるうちに柱や梁が組まれていき、一日で上棟しました。

今回の建物は直角が少なくて、プレカットもだいぶ苦労されたようです。

屋根が片流れな分、道路からボリュームが大きく見えます。

今回の屋根は直射日光を浴びる角度ですので、断熱材+通気層の鋼板葺きとしました。

内部からのハイサイドライトの様子が早くも想像できます。

形状が複雑ないくつかの建具は建て方を待って現場採寸です。このハイサイドライトもそのひとつ。

北京カフェ事情

5日に北京到着。気温は40度(!)三里屯に直行しカフェの現場を確認。もう出来ていて営業も始まっていたので、光源が丸見えだったりして直さないとまずいところだけ直し、施工精度のところは施主と反省点をまとめ、次回に活かすということとした。

翌日、クライアントと北京のカフェ事情をリサーチした。視覚のインパクトを狙う店づくりは減り、素材の使い方やディテール、細かいこだわりを見せることで高級感やブランドイメージを演出する段階にきている印象がした。行列が特にできていたのが、一つは三里屯の喜茶。スターバックスのティストの店内に、お茶を見せる仕掛けを各所に施している。

 

 

 

 

喜茶

 

 

 

 

 

 

もうひとつは国貿近くの楽々茶。こちらはドライな素材感(テラゾー、ステンレス)と、色温度の高めの照明でファクトリーのような雰囲気を作り出している。

楽々茶

 

 

 

 

 

 

 

 

どちらにも感じられるのはスターバックスに対する対抗意識である。スターバックスを起点にジャンプを試みるか、スターバックスと逆の方向に行くかという違いはあるにせよ。またコーヒーとちがう中国茶で勝負するところに、意地を感じられる。

塔の岳

日々の運動不足を償うために登山を敢行。今回は丹沢表尾根。秦野で9時のバスで出発し、ヤビツ峠(10:00) → 二の塔 → 三の塔 → 塔の岳(13:00)→ 鍋割山(14:30)→ 大倉(17:00)。渋沢駅に戻ったのが18時前。

梅雨前で夏前の涼しいひと時を満喫。きれいな空気と壮大な景色で肉体の苦しみが緩和される。

かなり疲れ果てたが、時間を置いたらきっとまた登りたくなる、充実感を味わった。

地鎮祭

本日はA邸工事の地鎮祭に参加し、工事の無事を祈願した。

土地へのリスペクトを示すと同時に、地鎮祭の様子を見に来た近所の方々とも交流が発生したりと、こういった行事の重要性をあたらめて認識させられた。