杉本博司の江の浦測候所を見学した。
長い歴史が宿るモノは、価値があるからこそ残されているということを考えれば、それ自体が美しいことの証明になるかもしれない。
それとともに、それぞれのモノには物語があって、建築はそれぞれのもののストーリーから派生したつなぎとして機能している。
だから建築とモノの区別があいまいであり、渾然一体となって美しい。建築はシャープで重厚、という印象を受けた。風景を切り取るフレームとしての建築は、ミニマムに存在するが、
別の角度に回ると、それは大地に根ざした量感のある物質としてしっかり存在している。
細部も、総じて先端はきれいに細くカットされているが、膨らみや断面形状から、重厚な印象を与えるディテールになっていた。
歴史とはそういう重みかもしれない、と考えさせられた。
冬至の日に、太陽の光が100mのコールテン鋼のトンネルを射抜き石群にあたり、平行に太陽の昇る 方向に向けて並べられたガラス片の小口がいっせいに輝く瞬間をぜひとも見てみたくなった。